◆バリアフリーとその考え方◆
 
介護保険と住宅改造
T−2 駐車場  T−4 スロープ(斜路)  T−5 出入口(戸)
B−U 施設設備

移動形態別に整理したリフォームのポイント
移動形態 歩 行 障 害 車 椅 子 使 用
含まれる
高齢者
日常生活に支障はないが

身体的低下のみられる高

齢者

つたい歩き,杖歩行,介

助歩行
日常車椅子を使用し自立

または一部介助で生活す

る高齢者
障害が重度で,日常生活

全般に重度の介助を必要

とする高齢者

生活上の
問題点
若年に比べ身体寸法が小さい

・転びやすく,骨折しやすい

・足腰が弱り,段差や階段が問題となる

・上肢・指先の力が弱り,ドアノブの操作が問題

・バランス機能が低下し,よろけやすい

・視力が低下し,物の識別がしにくい

・臭覚が低下し,ガス漏れなどに気づきにくい

・体温調節機能が通常はよく保たれているが,寒 冷

 暑熱温度に対する反応が低下する

・排泄回数が多くなる

・杖歩行などの場合には,食事を運ぶなど物の運搬

 が困難
・車椅子に座ると手の届く範囲が狭くなる

・段差があると移動できない

・車椅子の進行・回転にはひろいスペースが必要

・手すりやトランスファー装置などの補助設備が必要

・若年の車椅子使用者と異なり,高齢者の場合に

 は,入浴や排泄に介助が必要なことが多い

・体温調節機能や足の温熱感覚が低下する場合が多い

・障害や病状が重度となると,ベット上の生活とな

 り,専門家による看護・介護サービスが必要となる 
リフォー
ムのポイ
ント
 (通路)敷地などの小さい段差も解消し,すべりに
 
 くく,つまづきにくい床材とする。必要な場合

 には,手すりを連続的にもうける

 (台所)いすに座って料理できるようにする

 (洗面所)洗面器に寄りかかる場合には,洗面化粧

 台とするか,またはいすに座って洗面できるように

 する

 (トイレ)様式とし,手すりをもうける

 寝室と接近して設ける

 (浴室)浴室の縁高を低くし,またぎやすくする。

 バランスが悪い場合は,浴槽の縁を広くしたり,

 移動台を設け,腰掛けて出入りする

 (寝室)玄関,トイレ,浴室と同一階に設ける。

 ベットを使用する
 (通路・出入り口)車椅子で楽に通行するために,
 
 通路を850o・出入り口を800o以上とし車

 椅子が回転するところにはそのためのスペース

 をとる

 (台所)車椅子の回転スペースを設け,流しなどに

 十分近づけるように,車椅子に座って膝が入る

 空きを流しの下に設ける。車椅子の移動を最小

 にするように,流し,調理台,ガス台,食卓を

 配置する

 (トイレ)車椅子が回転できるスペースと便器に移

 乗する際に使用する手すりを設ける

 (浴室)車椅子のまま洗い場に入れるように段差を

 解消し,移乗台に乗り移り入浴するようにするのが

 一般的である

 (寝室)ベットの周辺に車椅子回転用のスペースを

 設ける。車椅子で手の届く範囲に収納を設ける

 (トランスファー装置)車椅子から便器や浴槽への

 移乗が困難な場合には,天井にレールを取り付け

 トランスファー装置を設ける


公共的建築物   B−T.移動          
   T−2 駐車場

整備の基本的な考え方 玄関付近(屋内駐車場においてはエレベーターのある入口付近)

に障害者が専用又は優先で使用できる駐車スペースを設ける。
スペース *車体分のスペースの両側に、巾120p以上の乗降用スペースを確保する。

*2台(またはそれ以上)分のスペースを並べて設けることが望ましい。

*車体用のスペース床面に障害者シンボルマークを塗装標示し、乗降用スペース


 床面は、斜線で塗装標示する。
安全通路 *駐車スペースより建物出入口まで、有効幅員135p以上の車いす使用者及び

 歩行者に安全な通路を設ける。
屋根・庇 *駐車スペース及び道路には、屋根又はひさしを設けることが望ましい。
床仕上げ *床面はすべりにくく平坦な仕上げとする。
誘導 *進入口には、障害者用駐車スペースが配置されていることがわかるよう標識

 を設ける。

*進入口から障害者用駐車スペースに至るまで、誘導用の標識を設ける。


公共的建築物   B−T.移動          
  T−4 スロープ(斜路)

●整備の基本的考え方

           ★道路面に段差がある場合はスロープを設ける。

           ★スロープには緩勾配の階段を併設することが望ましい。
勾配 ☆勾配は1/12(約8%)以下とし、屋外では1/20(約5%)以下とするこ

  とが望ましい。

  (ただし、高低差が75p以下の場合は緩和することできる。)
有効幅員 ★有効幅員は屋内120p以上とする。

★屋外では135p以上とする。できれば150p以上とすることが望ましい。
踊り場等 ★高低差が75pを超えるごとに踊り場(長さ150p以上の水平部)を設ける。

★スロープの始点、終点、曲がりの部分、折り返しの部分、及び他の通路との交

  差部分にも同様の踊り場を設ける。
床仕上げ ★通路床面はすべりにくく平坦な仕上げとする。屋外など表面がぬれるおそれの

  ある部分には特に配慮する。
立ち上がり ★車いすの脱輪などの防止のため、5p以上の立ち上がり又は側壁をもうける。
手すり ★手すりは、原則として両側に連続して取りつける。

★スロープの始点、終点を歩行者に知らせるため、30p以上の水平部分を設け

  る。
  (→【公共的建築物】Tー8:手すりの項)
車いす当たり ☆壁面には、床上15〜35p程度の車いす当たりを取り付けることが望ましい。
標示 ☆スロープの始終点の手すりの端には現在位置を展示で標示するのが望ましい。


公共的建築物   B−T.移動          
  T−5 出入口(戸)

有効幅員 ★出入口(戸)の有効幅員は85p以上とする。

★玄関など主要な出入口の有効幅員は100p以上とする。
形式 ☆戸の形式は、引き戸がよく、自動式の引き戸が最も望ましい。

★回転ドアは用いない。
引き戸 ☆引き戸は軽い材質のものとし、段差のある敷居や溝は設けないことが望ましい。
開き戸 ★閉鎖作動時間を十分に確保したドアチェックを設け、できるだけ軽く、ゆるやか

  に開閉するよう配慮する。

★戸の開き勝手方向には、より多くのスペースをとる。

☆戸の反対側の動きがわかるよう、床から60pの位置を下端に、20p×90p程

  度のガラス窓を設けることが望ましい。ガラスは割れにくいものを用いる。
自動ドア ★自動ドアは、開き戸は避ける。方引き又は引き分け式が望ましい。

★自動ドアは車いす使用者の通行を考慮し、すみやかに開くものとし、扉の開放時

  間については十分に確保する。

★開閉自動装置は、関知域をできるだけ広げ、視覚障害者、車いす使用者等の

  通行について、支障なく作動するよう十分配慮する。
ドアハンドル ☆使い易い形状のもとし、床面より85p程度の所に設けることが望ましい。

   (引き戸では棒状のもの、開き戸ではレバー式のものが使いやすい)
車いす当たり ☆戸には床上15〜35p程度まで、車いす当たりを取り付けることが望ましい。
標示 ★戸の前後には点状床材を敷設するか、床の材質を変化させる。

★文字による室名標示は、できるだけ大きな文字を用い、ふりがなを付し、ドア

  又はドア付近の壁の目の高さの位置にもうける。突出型の室名札の場合、

  下端を180p以上とする。
指つめ防止 ★戸には指つめ防止の配慮をする。


公共的建築物   B−U.施設設備          
  U−1便所 (車いす用)−2
手すり ★手すりは便器の両側に垂直、水平に設ける。

★垂直手すりは壁に固定する。やむを得ず床に固定する場合は固定下部がい

  すの移動の邪魔にならないようにする。

★水平手すりのうち片側は可動式とし、堅固に取り付ける。(B型)

★水平手すりの高さは車いすのアームレストと同じ高さ(65p〜70p)とする。
洗浄装置 ★便座に腰掛けたまま利用できる位置に設ける。

★大型のレバー式、くつべら式押しボタン、光感知式のものなど、操作のしや

  すい形状のものとする。
ペーパーホルダー ☆便座に腰掛けたまま利用できる位置に、両側に設けることが望ましい。
手洗器・洗面器 ★手洗い器は便器に腰掛けたまま利用できるものとする。

☆洗面器の高さは、70〜80pとする。水栓器具は、レバー式、光感知式な簡

  単に操作できるものとする。
汚物入れ ★汚物入れは一般のものより大きくし、手の届く範囲に設ける。
☆壁には、車いす使用者の利用の支障とならない位置に、手荷物を置く棚を設

  けることが望ましい。
非常呼び出し
ボタン
★便座に腰掛けた状態で手の届く位置に設ける。

☆転倒した場合にも利用できる位置に設けることが望ましい。


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