スナップ  いま学校で

 
 
 
 
のびのびと明るくパワー炸裂
伊勢崎女子高校生徒会新入生歓迎会・部活動発表会
 
◇桜満開、狭い校庭に迷路のような施設
伊女は市役所の隣と言うと街の中心街にあるように思いますが、伊勢崎駅から街の中心を通り越した静かな広瀬川に近い郊外にあります。近くに相川考古館、伊勢崎興陽高校(旧佐波農)や南小のある静かな文教地区です。校庭の入り口に大きな「すだじい」を見下ろすように白色の体育館があり、そこに大きな伊女の校章、「三種の神器」が見下ろしています。桜が満開、思ったより狭い校庭です。その中に様々な施設が迷路のように建て込んでいます。第一の感想は、「これでは県が言う男女共学・単位制高校にそのまま変えようがない」ということです。少なくとも敷地のことだけでも1.5倍は要るでしょう。道は校内を一周できるように付いています。ジョギングが出来そうです。校庭の端に弓道館、そして校舎の端に同窓会館「玉耀館」、その前に「定時制廃止」の記念碑と共に、「旧校歌の碑」がひっそりと建っていました。「・・・御心と親の心を・・・」そんな言葉が流暢な草書体で刻まれています。伊女の生徒たちはこの碑をどう見ているのでしょうか。
 さて、気さくな下山校長にご挨拶をし、職員室へ・・・入った途端に、職員室にあるあの緊張感がないのです。意外に、と言っては何ですが、かつて共に勤めた多くの仲間達が暖かく迎えてくれたからか・・・いやそれだけではないようです。多くの初対面の先生方が丁寧に挨拶されます。また、生徒たちの誰もがこの“闖入者”に「今日は」「おはようございます」と挨拶をしてくれます。(後で気がつきましたが、この爽やかさ、優しさは伊女全体のトーンのようです。)
◇圧巻の書道部、ダンス部の舞台・・・歓声と熱気の新入生歓迎会
 新入生歓迎会は広い体育館への入場から・・・紙で作ったあの花で飾った三年生達が作る人アーチの下を新入生が入ってきます。一人一人にお祝いの封筒が渡されます。(後で見せてもらうと、前回の文化祭「飛翔祭」のパンフや生徒会のしおりと共に、出てきたのは二枚の手書きの歓迎のことばです。先輩がいろいろなサインペンを使って「合格おめでとう」「思い出作ってね」などといっぱい書いて亀甲型に折ったり、様々な工夫をした手作りの、これこそ、この世に一枚しかない歓迎の言葉でした。「女子高だな一」とついに一度も女子高を経験した事のない私はしみじみとそう思いました。校長さんは「伊女は生徒会行事も学校行事も生徒がします」と挨拶。会場の隣席の先生が「伊女では学校行事の賞状は生徒会名で出すんですよ」とさり気なく伝えてくれます。
 歓迎会は、旧一年二組の「ロックソウラン」から始まります。次いで書道部の四人が舞台の上で直径十センチもある筆で揮毫します。「共に」「歩もう」「明るい」「未来」と。続いて「ダンス部」の発表がまた圧巻。社会的にも様々な集会に出て活躍するダンス部。

ダンス部だけではなく伊女には放送部や演劇部など様々な伝統を持つ部活が、「殆ど進学者」という中にも息づいているのです。会は、生徒会役員の紹介、生徒会活動、そして文化祭「飛翔祭」の説明と実行委員会への参加の呼びかけ(その中で「最後の飛翔祭」と言葉が印象的でした)、吹奏楽、軽音楽部と続き、旧一年四組のアトラクションでクライマックスです。舞台に合わせ「エリチャーン」「○○チャーン」と歓声が上がり、両手を挙げ、全身で歌に合わせる生徒もいます。(私の初めて見る「女子高」の光景です。男女別学は子どもだけではなく、教師おも人間疎外にしていたようです。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
◇先輩が新入生を小グループで各部活動場所へ・・・部活動発表会
午後は部活動発表会。顧問の須田先生に案内して頂きます。最初は「焼肉の匂い」に誘われて登山部から・・。焼肉を顧問の先生が焼いています(匂いに誘われて入部するかな?)。一年生の生徒は、5人から6人のグループに分かれ、それに2〜3人の先輩がついて説明しながら各部を見て回るのです。華道部、吹奏楽部、ダンス部とか・・・部員のいっぱいいる部もあり、華やかです。その陰でひっそりと、しかし一生懸命説明している部・・自転車同好会は全国大会に優勝・4位のたった2人の生徒が自転車に乗って見せています。全国大会で数々の賞を取り、多くの先輩を出す放送部は今3人で伝統を引き継ごうと頑張っています。一日もかけて「新入生歓迎会」の疑問が解けました。この午後の行事が部活の真髄を見せ、先輩に案内される中で先輩に親しくなり、伊女を知るのです。伊女は4日目になるのにまだ授業が始まっていません。しかし、  
こうした、きめ細かい、心を大切にする一つ一つの取り組みが他に替えがたい教育効果をあげているのだと思いました。そこに伊女の校風ができている。
ああ、戦後からの『伊女の教育』がまだ生きているのか!(昭和30年代の群馬の教育を作った藤女,桐女と並んで言われた『伊女の教育』がです。)今の生徒も、現在の伊女の先生方もさり気なく流れ、生き続ける「より良き校風」をどう受け止められておられるのでしょう。
◇最後の「飛翔祭」に向けて奮闘中・・・生徒会本部役員に直撃インタビュー新入生歓迎会・部活動発表会を主催した生徒会の本部役員にお疲れのところでしたが、放課後色々と伺ってみました。9名の本部役員の皆さんが次々と答えてくれました。
 Q.午前の新入生歓迎会は、舞台も会場も熱気溢れるものでした。生徒会の皆さんの感想はどうですか。
――今年の一年生はのりがよかったんです。盛り上がりました。
 Q.出し物のプログラムはどのように作ったのですか。
――クラスのアトラクションは、昨年の予餞会でやったクラスのものです。あとの部活動は、希望する部活を募集しました。 
 Q.一日見学をさせてもらっただけでも生徒会が生き生きと行事の中心になっていると感じましたが、その生徒会役員になったきっかけは。
  ――もともと動き回るのが好きで、行事など動かす生徒会活動に興味があったんです。
  ――会計面でもいろいろな体験ができると思って。
  ――始めは人の前にでるのは好きではなかった。でも、やってみたら皆に接することがいいなと思うようになりました。
 Q.他の高校では、生徒会役員になり手がないとか聞きますが・・
  ――伊女では、そのようなことはないです。信任投票になることはありますが・・
 Q.生徒会本部の活動日は
  ――火曜日と木曜日の昼休みが会議日で、その時間にやり切らない時は、その日の放課後もやります。行事などが近づくと毎日です。
 Q.部活のユニフォームを着ている人もいますね。部活動と両立できるのかな。
――大丈夫です。部活動の方を少し遅れていくとかでも、皆が理解してくれます。
 Q.「今度の文化祭は最後の文化祭になる」と説明していましたが・・・
  ――今年の一年が三年になる時、男女共学の単位制高校になり、学校名が変わります。
 Q.今女子高ですね。男女共学については、どう思いますか。
  ――慣れてしまうと女子高の方がいい。男子がいると恥ずかしがるのではないか・・
 Q.電車の中などで、一緒になるとどうなんだろうか。
  ――電車の中なんかでは、一緒の方が。でも、学校は別の方が良い。
 Q.頂いた資料によると、生徒会活動の目的の所に「よりよい学校生活を送るための生活改善などをしていく・・・」とあります。具体的には、どんなことを取り組んできましたか。
  ――意見箱が設置されていて、そこに生徒の要望がだされます。それを生徒会として取り上げ実現するようにしています。例えば「駐輪場の照明が不足していて部活動が終わって帰る時暗くて困る」と言う要望がだされました。そこで全校生徒にアンケートを取って,その結果をまとめて事務長さんや校長先生と交渉して改善をすることができました。
 Q.要望をだしてもだめだと言うのはないですか。
  ――「上履きをサンダルに」とか「購買におにぎりを入れて欲しい」などがあります。
 Q.服装問題についてはどうですか。
  ――制服は、セーラー服なので人気があり、問題はありません。セーター・カーデガンについては、アイボリー、ネイヴィにするようになりました。
 Q.服装検査はありますか。
  ――各学期初めにあるくらいです。
Q.どう思いますか。
  ――こわい。
 Q.イラク戦争反対で若い人たちが色々な形で行動をしていますが、平和の問題につては、どうですか。
  ――私達も、生徒会員に呼びかけました。伊勢崎でピースパレードがあったので、プラカードを作ってあまり大勢じゃあなかったんですけど、参加しました。戦争反対の手紙もだしました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Q.今の伊女がなくなることが先ほどだされましたが、このまま残したいと言う動きはないのですか。
  ――総会でも触れました。また、討論会など呼びかけたのですが、参加者が少なく、現実的には難しく、受け入れざるを得ないんです。
 Q.文化祭の資料を見せてもらいました。昨年の11月に文化祭企画委員会が発足して、立派な討議資料や基本方針もでき、着々と準備が進められていますね。そこで、最後の質問になりますが、今年の文化祭で、皆さんが一番力を注ぎたいのはどんな点ですか。
  ――冬休みに先輩方にきてもらい、いろいろアドヴァイスをもらいました。そして私達は原点に戻り『文化祭の意味』を考え出しました。そこで、「学ぶ楽しさ」「創りあげる喜び」「来客者とのふれあい」を大切にした最後の飛翔祭にして、伊女っ子パワーを世の中に刻みたいと燃えています。
 
 
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――校長先生はじめ諸先生方、生徒会顧問の先生方、一日大変お世話になりありがとうございました。              (取材 守随・冨田)
(取材:守随 冨田)