前橋支部教研
“市高の中等教育学校化を考えるシンポジウム”報告
      

 昨年12月15日(日)県民会館4階会議室に高校生、保護者・市民・PTA役員、市会議員、教師等50数名が集まり、前橋支部教研が開かれた。その活発な討論の一端を報告したい。
この集会は5名のパネリストの意見を聞き、参加者と共に上記の問題を考えようとするものであった。最初に久保田(市高PTA会長)氏は突然の問題発生から今日までの経過を辿りながら「市教委は1年延期案を出してきたが、今より確実に学校が良くなる確証が得られなければ反対運動を続ける」とし、在校生の河本さんは生徒会がまとめた20か条の意見や疑問を紹介した後「私たちはほとんど知らされていない。市教委ははっきりと説明して」と要望した。次いで、長塩先生は、全国レベルの部活、進学者の急増、学校内部での改革案検討等様々な努力が行われている中での市教委の上からの「改革案」は理解できないとし、施設や職員配置、通学区等具体例を挙げながら改革案の矛盾・非現実性を鋭く指摘した。小学生を持つ母親、高平さんは「市高問題」はあまり知られていないが、学校の土曜日対策・安全パトロール・集金当番などPTAやボランティアに支えられていることも多いのに市民の努力を無視するような中等学校化案は理解できないと発言、小学校教員の須藤先生は教育は1人ひとりの全人発達が目標、中等学校はエリート作りが目標、子どもも親も評価を気にして歪む心配があるなど、市教委の「改革案」に対する疑問・不信などが次々と出された。
パネリストへの質疑応答後、小休憩を挟んで、討論が再開されたが、参加者からの発言が相次ぎ、会場は熱気に包まれた。    
代表的な発言要旨は次の通り。
@ 学校は生徒・保護者・教師が作るもの、生徒会の意見を反映させて。
A 市高は実績が上がっているのだから、一貫校は別に作るべき。
B 反対署名が2500筆ある。これを6000にして残したいので協力を。
C 「市立中等学校」は全国初。(市教委は)国や県の方針への迎合が先で「まず中等学校ありき」だ。子どもの事は考えていない。しかし、1年延期はチャンス。周囲に広げて前橋の教育を考えて行きたい。
D 3年間部活に没頭した。恩師にも恵まれ、進学も出来た。後輩たちの部活の活躍もうれしい。それなのに市高がなくなってしまうなんて悲しい。是非残してほしい。友達にも伝えたい。
E 市当局を相手にするには相当の運動が必要。(高市女闘争を例に挙げながら)みんなで力を合わせて要求を実現させていこう。協力する。
F (生徒も保護者も卒業生も市高を)素晴らしいと言えることが素晴らしい。生徒、教師が汗を流し、母が支えてきたこの学校を市教委はどう評価しているのだろう。市立前橋をなくしてはならない。
 まだまだ発言者の手が上がる。しかし、終了時間はすでに過ぎていた。最後にコーディネーターの教育研究所の橋本氏が、「問題点は明確なのに市教委は説明できない。しかし、高崎では中央高校が中等学校に、太田では(教育特区で)小中高の一貫学校を作ろうとしている。県都前橋にも面子があるからやるとなったらゴリ押ししてくるかも知れない。だから、課題はどうやって撤回させるかだ。生徒・保護者・教師が一丸とならなければ勝てない」とまとめて集会を締めくくった。しかし、散会後もあちこちで議論の輪が出来、熱気と興奮が持続した。
この集会はパネリストの的を射た発言で問題点が明確となり、それに触発されたか、参加者の発言も多岐にわたり、市教委の「改革案」が現実離れした机上の空論であること、今やるべきことは市高教育の特色を更に充実させることにあることが共通理解される等意義深いものとなった。また、今回のシンポの成功は、前橋支部の追求してきた「高校生・保護者・教師の三者の協同」による教研のあり方の正しさを実証するものとなったように思える。勝利目指して頑張りたい。(支部教研担当:倉林)

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