日蒙絵画交流レポート

〜世界は一つの家族〜

2002年12月20〜27日

おかげ様で、この度のモンゴルと日本の小学生絵画交流は、総枚数160枚ものご協力をいただいて、大成功を収めました。温かいご支援・ご協力どうもありがとうございました。モンゴル・ウランバートルでは第15小学校、第33小学校、第57小学校、イェリヒ小学校の4校で歓迎を受け、中川小学校と元総社小学校にご協力いただいた絵画と交換してきました。「草の根活動で国際交流を進めながら、日本人とモンゴル人が、そして、あらゆる国の人がひとつの家族のようにお互い尊重しあう関係を築いたとき、そこに平和な世界が訪れる」という国際交流の原点に立ち返って、これからもより一層努力していこうと思います。では、このレポートをもちまして、ご報告とさせていただきます。

2003.1.10 文責:佐々木一也

12月20日
佐々木一也、北田暁彦、嘉藤敬の3人は、韓国・ソウル経由し、ついにモンゴルの首都ウランバートルに到着。UB時間夜11時(東京午前0時)と遅い時間にもかかわらず、現地の日本人スタッフ、モンゴル人大学生らが空港で温かく迎えてくれる。一歩外に出ると噂に聞いていた寒気が襲ってきた。今の気温を聞いてみる。−36度…。

12月21日
ウランバートル市内のボランティアセンターを拠点に1週間過ごすことになった。まず、現地スタッフ、大学生らとこの期間のスケジュールを打ち合わせ。そして、このツアーのテーマを「One World One Family by True Love In Action」と確認。会話は英語か通訳者を通すことがほとんどだが、せめてあいさつだけでもモンゴル語で伝えたい。「サイバイノー(こんにちは)」「バヤルララー(ありがとう)」「アムトテイ(おいしい)」…。モンゴルの大学生に一つ一つ丁寧に教えてもらう。

12月22日
ウランバートル市内の相撲競技場で学生文化祭があるというので私たちも参加した。熱気溢れる会場には約3000名もの青年・学生らが集まっていた。大学生、高校生、ボランティア団体などが次々と出し物を披露する。共通テーマは「世界平和を実現するために奉仕活動の輪を広めよう」ということらしいが、舞台上では、歌やダンス、武道、サーカス、ファッションショーまで、何でもありのごった煮状態。私佐々木も急きょ、日本代表としてスピーチをすることに。
「21世紀は一国で生きていく時代ではありません。モンゴルと日本、そしてアジアの若者が力を合わせて、新しい平和の文化を築いていきましょう!」。盛大な拍手を受けてホッと肩をなで下ろす。海外では私のような者でも日本の代表として見られる。今さらながら国を背負っている重責を実感。

12月23日
いよいよツアーのメインイベントとなる小学校での絵画交流会。モンゴル人大学生と共に、まずUB市内の第15番小学校に訪問した。校長先生にあいさつし、講堂に通されると、そこでは300名近くの子どもたちが、それぞれの絵を手に持って盛大に迎えてくれた。ステージ上で、日本の小学生に描いてもらった絵と、モンゴルの子どもたちの絵を交換する。その後、子どもたちが歌ったり踊ったりと元気のよさをアピール。
イベント終了後、校長先生に、「日本とモンゴルの文化交流として、モンゴルで桜の植樹を進めたい」と、私たちのプロジェクトを紹介。校長先生はこの提案をとても好意的に受け入れてくれた。今後、植樹に関する調査活動を進めることを約束する。

12月24日
ウランバートル市内の2つの小学校を訪問。最初に訪問したのは、イェリヒという国内有数のエリート学校。未来の国家指導者として期待を受けているお坊ちゃん、お嬢さんの授業風景、そして行き届いた校内の設備を見学しながら、モンゴルにもこんな恵まれた教育環境があるのかと驚く。
と言っても、やはり子どもは子ども。絵画交流会で、日本の小学生が描いた絵を受け取ると、とたんに大はしゃぎだ。友だちと見せ合ったり、すぐに教室の壁に貼ったりと喜びを体全体で表現している。隣にいた北田君が「国籍は違っても、子どもたちが喜ぶことや持っている夢は同じ。国の間の壁は、本質的には存在しないね」とつぶやいた。
次に訪問したのは、「倫理・道徳教育推進校」を掲げている第57番小学校。ここはイェリヒ学校とは一転、貧しい地方の小学校だった。ただ悲壮な雰囲気はほとんど感じられなかった。子どもたちとすれ違うたび、爽やかな笑顔とともに、礼儀正しいあいさつを受けた。しばらくすると、子どもたちによる歓迎コンサートが始まる。手作りの出し物を一生懸命披露してくれる姿に、真心から歓迎してくれていると感動した。

12月25日
午前中は市内観光、午後からはUB郊外のゲルにホームスティ。
午前中、ザッハという街で一番活気がある市場に足を運んだ。庶民の生活を知るには格好の場所。売り買いの声が飛び交い、人々がひしめいている。
ほどなくホームレスの子供たちを見かけた。彼らは「マンホールチルドレン」といって、寒い冬をマンホールの中で過ごしている。家庭不和による家出、飲んだくれの親から捨てられたなど複雑な背景を抱えている者が多い。近くにいたモンゴル人が「見るな!」と怒り出した。モンゴル人とてプライドは人一倍。「外国人に触れてほしくない」部分もあるのだ。 午後からは牧民のゲル訪問。息子、娘が合わせて15人いるという、陽気な壮年夫婦に温かく迎えられる。モンゴルでは突然の訪問客に対しても、まるで家族のように心開いて迎え入れるという伝統が根強く残っているのだ。

12月26日
ウランバートルで最も貧しい地方にあって、日本人が運営をサポートしているという幼稚園を訪問した。この幼稚園の子どもたちは毎日のご飯を食べるのも困難な環境におかれているという。この日はクリスマス会で、日本から持ってきたお菓子や文房具をプレゼントすると大喜びしてくれた。純粋な反応がほほえましかったが、一方で「物質的な援助は一時的なものに過ぎない。これで良いのだろうか」との葛藤も生じた。本当に彼らが幸せになるにはどうしてあげたらよいかを真剣に考えざるをえなくなった。

12月27日
1週間のツアーを終えてウランバートルを発ち、東京・成田空港に戻ってきました。このツアーを通してモンゴルの方々と語らい、共に奉仕活動し、様々な立場の子どもたちと接するなかで、私たちは主に2つのことを感じました。1つは今回のツアーのテーマに掲げた「世界は一つの家族(One World One Family)」というのが決して机上の空論ではなく、私たちがその実現に向かって努力(True Love IN Action)すれば必ず成し遂げられるということ。もう1つはモンゴルの子供たちを自分の家族であると思ったとき本当に支援しなければならないことは何かが見えてくるということです。それは物資の援助と共に、相手国と継続性のある相互文化交流のなかで、互いの人格を高めていけるような形の支援であるはずだと考えます。

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